05.15.08:31
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12.06.00:56
「記憶:1」(音波×サンクラ)
「もう我慢でけん!!!」
アイちゃんに代わりに叫んでもらったよ!
そう。音波×サンクラが書きたくてしょうがなかったの・・!
勿論、メガオプ大好きよ!司令官のまっすぐな愛が(たまにひん曲がってメガ様は鉄拳制裁をうけてるよ)
大好きさ!!
それと同じくして音波×サンクラが大好きなのです。
もう溢れる思いを言わずにはいられません。
なんなのあのサンクラの可愛さ!!あーもう上手く言葉に出来ない。
正直、メガオプ小説がまだ続いているので上げるか悩んだのですが・・
もうムリでした。はい。
音波×サンクラも続き物になります。
「Belle et la bête」とはまた違う雰囲気ですので、共に楽しんでいただけたら幸いです!
(続きを読む>に収納してます)
腕組みをし直しながらランブルは勝ち誇ったように言うと、意識が飛んだままの仲間に目線を移す。リペア台に飛び乗ると台からケーブルを引きずり出し、フレンジーのハッチを開けると慣れた手つきで配線を始めた。
「へぇ・・・」
話を最後まで聞かずに出て行きやがって。ラウンジの冷庫に大切にしまってるエネルゴンプリンは食べるなって言いたかったのに。いや、むしろ今更プリンの心配なんて遅いか。あーあ、とうなだれて寝台に腰をかけると何か香りがしてきた。
何とも表現しにくいが、いい匂い。どこから香りが出ているのか気になって寝台の下を覗いたり、近くの収納ボックスを見たがこれといって元になるものは見当たらない。
サウンドウェーブが帰ってきている。
「い・・いやあの・・」
「・・ふーん。解った。」
「・・え・・?」
続く。
アイちゃんに代わりに叫んでもらったよ!
そう。音波×サンクラが書きたくてしょうがなかったの・・!
勿論、メガオプ大好きよ!司令官のまっすぐな愛が(たまにひん曲がってメガ様は鉄拳制裁をうけてるよ)
大好きさ!!
それと同じくして音波×サンクラが大好きなのです。
もう溢れる思いを言わずにはいられません。
なんなのあのサンクラの可愛さ!!あーもう上手く言葉に出来ない。
正直、メガオプ小説がまだ続いているので上げるか悩んだのですが・・
もうムリでした。はい。
音波×サンクラも続き物になります。
「Belle et la bête」とはまた違う雰囲気ですので、共に楽しんでいただけたら幸いです!
(続きを読む>に収納してます)
あの香りはどこからくるのだろう。
初めて近付いたのに
昔、どこかで。
「記憶」
「…か…ばか!サンダークラッカー!手を離すな!」
「え…?」
スタースクリームの声で我に帰るも時既に遅かった。
最近、基地の整備ばかりで大空を気持ち良く飛んでないなぁ…なんて憂鬱混じりにぼんやりと考えていたせいで、基地の床下で修理するフレンジーに手渡す筈のパーツを手から滑り落としてしまった。
慌てて床下を見ても深い暗闇から衝突音がする以外、悲鳴も何も聞こえない。
パーツは結構な重さだったし、当たり所が悪ければフレンジーが壊れる可能性も有り得る。
最悪の自体を考えて呆然と真っ暗な床下を覗き込んでいたら、後ろにいたスタースクリームに翼を掴まれた。
「ったくお前は…!待ってろ、今ランブル呼んでやるから。」
自分達では到底入れない小さな穴を見ながらスタースクリームは臨機応変に対応してくれた。
===============
「まったく、どうやったらこんなに命中させられるんだよ!ほら!後頭部直撃!解るか!?」
ガシャっと音をたててランブルはフレンジーを床に寝かせると犯人のサンダークラッカーにダメージの程を見せつけた。
赤い目の輝きは消え、後頭部のヒビからブレインサーキットの光が見える。
「壊れ・・たのか?」
フレンジーとは何故か息が合い、カセットロンの中でも一番仲良くしている。
ラウンジの冷庫にあるエネルゴンプリンを取りに行こうとしたら、彼に手伝いを頼まれた。
特に断る理由もなく、通り掛かったスタースクリームをも巻き込んで手伝っていた最中、一瞬余計な事を考えたせいで彼を瀕死の状態に追いやってしまうなんて。自分が嫌になる。
「はっ!こんなんで壊れるような奴じゃねーよ!サンダークラッカー、おまえのせいなんだからな!部屋に運べよ!」
「え・・部屋って、リペア専用ラボじゃねーのか・・?」
小さな体を持ち上げながら訪ねると嫌な答えが返ってきた。
「違う!!俺達の、サウンドウェーブの部屋だよ!」
サウンドウェーブの部屋だなんて、下手したらメガトロン様の部屋より行った事が無い気がする。いや、正確には近寄ったことが無いというのか、何が悲しくてこんな状況で一番関わったことのない人、そしてこの事態を一番知られたくない人の部屋に行かなきゃいけないのか。
今日は『運が悪い』だけでは済まされないみたいだ。自分が犯人なだけに拒否もできない。大きく肩を落とし溜息をつくとランブルの後についていった。
「まぁ、お前が壊されないようにな。」
スタースクリームは部屋を後にする自分達を見て腕組みをし、ニヤニヤと笑いながら立っている。横目で見てもその顔は何か企んでいると直ぐに解った。全く、慈悲のかけらもあったもんじゃない。
フレンジーを抱え上げ渋々ランブルについていくと、エレベーターは自分達の部屋より一つ上の階で止まった。考えたらサウンドウェーブの部屋は自分達と一つしか階が違わないのに全く近寄ったことが無い。
「静かだし、雰囲気違うんだな…」
「お前達が騒がし過ぎるんだよ!」
「あ!ランブルてめー勘違いしてんな!?あれはな、理由なく騒いでるんじゃねーんだぞ!!」
確かに理由はきちんとある。
取っておいたラウンジのエネルゴンケーキが無くなったやら、新しい武器を搭載して皆に自慢したら実は他人の希少な機材使っちゃってたとか。事あるごとにビームや物が飛び交っている。ある日帰ってきたら関係ない自分の部屋のドアが綺麗に無くなっていたのはもう数え切れない。勿論、その時はきっちり仕返しをするけれど。
「でも・・静かすぎねーか・・!?」
「あのなぁ、これが普通なんだよ!!」
廊下はまだ続いている。部屋が一番奥にあるのは何となく知っているけれど何しろこの静けさが落ち着かなくてしょうがない。ブレインサーキットが静かに音を立てて回転すると、嫌でも次第にマイナス思考に切り替わっていく。
扉を開けた瞬間にフレンジーを見て撃たれたら…罰として毎回代わりに任務に行かされたりとか…考えても悲惨な結末しか思い浮かばない。
更に拒否しようにも立ち位置が悪いし、あのサウンドウェーブだ。自分が強く言える訳が無い。
どうしてくれようか。
床を見つめ一人混沌と考えているうちに前を行くランブルの足が止まる。慣れた動作で飛び跳ね、セキュリティーを解除すると部屋の扉が静かに開いた。
先に入るランブルの様子を壁にぴたりとはりついて伺っていたが、話し声など誰かがいる様子はない。体内のオイルが五月蝿く波打つのを感じながらそっと覗いてみる。
「まだ帰ってきてないみたいだな~。まぁそこに寝かせて。」
先に入ったランブルからのいい知らせを聞き、先程まで五月蝿く波打っていたオイルの熱がさっと引いていく。少し軽い足取りで部屋に入るとフレンジーをリペア台に寝かせた。
ざっと見渡しても殺風景な部屋。綺麗に片付いているし、寝台と必要な分析機械があるぐらいで面白そうなものは何もない。
もっともスタースクリームやスカイワープのごちゃごちゃした部屋を見慣れている自分もどうかと思うが。
とにかく、長くここにいたら会いたくない奴も帰ってきてしまう。
もう一度目線をリペア台に戻し、寝かせたフレンジーの頭にそっと触れると意を決して口を開いた。
「じゃあ、俺はかえ…」
「ちょっと待て。まさか連れて来るだけで、帰るなんてのはないよなぁ?」
スパークが跳びはねる。
まずい。ランブルに本心を見透かされた。
「いや…その、サウンドウェーブいないんだし、俺がいる意味・・無いだろ?」
「意味がない~?!バカ言うな!状況報告しないでどうすんだ!!帰ってくるまで待ってろよ!!」
リペア台の横の机によじ登り、自分と同じ目線で話すランブルの目が殺意に燃えている。その目線が痛すぎて思わず目を反らすと、ランブルは腕組みをしながら大きくため息をついた。
「まぁ、どーしてもって言うなら帰ってもいいけど!しらっとした顔してる方がサウンドウェーブにぶっ飛ばされる危険が高いと、俺は思うぜ?」
「うっ…」
さっき跳びはねたスパークが今度はきつく締まる。
反らした目線をゆっくりとランブルに戻し、ちらりと目を合わせると先ほどの痛い目線ではなくいつもの彼に戻っていた。
「脅しじゃなくて。俺はお前と仲良いから忠告してやるけど、前にアストロトレインがちょっと事件起こして黙ってたらサウンドウェーブにのめされてたぞ?」
「のめされたって…」
考えただけでもゾッとする。以前、アストロトレインが酷い怪我をしていたのに何も話さなかったことがあったが…それがランブルの話すものなのだろうか。もしそうだとしたら思い返してもあれは可哀相な怪我だったな・・。
「わ、解った…解ったから!」
過去の記憶を一気に引きずり出して算出された答えは、今はランブルに従うのが正解だということ。今帰ったとしてここを一時的に乗り切っても、黙っていたせいで後から自分まで瀕死状態になるなんて考えたくない。
「解ればいいんだって。」
初めて近付いたのに
昔、どこかで。
「記憶」
「…か…ばか!サンダークラッカー!手を離すな!」
「え…?」
スタースクリームの声で我に帰るも時既に遅かった。
最近、基地の整備ばかりで大空を気持ち良く飛んでないなぁ…なんて憂鬱混じりにぼんやりと考えていたせいで、基地の床下で修理するフレンジーに手渡す筈のパーツを手から滑り落としてしまった。
慌てて床下を見ても深い暗闇から衝突音がする以外、悲鳴も何も聞こえない。
パーツは結構な重さだったし、当たり所が悪ければフレンジーが壊れる可能性も有り得る。
最悪の自体を考えて呆然と真っ暗な床下を覗き込んでいたら、後ろにいたスタースクリームに翼を掴まれた。
「ったくお前は…!待ってろ、今ランブル呼んでやるから。」
自分達では到底入れない小さな穴を見ながらスタースクリームは臨機応変に対応してくれた。
===============
「まったく、どうやったらこんなに命中させられるんだよ!ほら!後頭部直撃!解るか!?」
ガシャっと音をたててランブルはフレンジーを床に寝かせると犯人のサンダークラッカーにダメージの程を見せつけた。
赤い目の輝きは消え、後頭部のヒビからブレインサーキットの光が見える。
「壊れ・・たのか?」
フレンジーとは何故か息が合い、カセットロンの中でも一番仲良くしている。
ラウンジの冷庫にあるエネルゴンプリンを取りに行こうとしたら、彼に手伝いを頼まれた。
特に断る理由もなく、通り掛かったスタースクリームをも巻き込んで手伝っていた最中、一瞬余計な事を考えたせいで彼を瀕死の状態に追いやってしまうなんて。自分が嫌になる。
「はっ!こんなんで壊れるような奴じゃねーよ!サンダークラッカー、おまえのせいなんだからな!部屋に運べよ!」
「え・・部屋って、リペア専用ラボじゃねーのか・・?」
小さな体を持ち上げながら訪ねると嫌な答えが返ってきた。
「違う!!俺達の、サウンドウェーブの部屋だよ!」
サウンドウェーブの部屋だなんて、下手したらメガトロン様の部屋より行った事が無い気がする。いや、正確には近寄ったことが無いというのか、何が悲しくてこんな状況で一番関わったことのない人、そしてこの事態を一番知られたくない人の部屋に行かなきゃいけないのか。
今日は『運が悪い』だけでは済まされないみたいだ。自分が犯人なだけに拒否もできない。大きく肩を落とし溜息をつくとランブルの後についていった。
「まぁ、お前が壊されないようにな。」
スタースクリームは部屋を後にする自分達を見て腕組みをし、ニヤニヤと笑いながら立っている。横目で見てもその顔は何か企んでいると直ぐに解った。全く、慈悲のかけらもあったもんじゃない。
フレンジーを抱え上げ渋々ランブルについていくと、エレベーターは自分達の部屋より一つ上の階で止まった。考えたらサウンドウェーブの部屋は自分達と一つしか階が違わないのに全く近寄ったことが無い。
「静かだし、雰囲気違うんだな…」
「お前達が騒がし過ぎるんだよ!」
「あ!ランブルてめー勘違いしてんな!?あれはな、理由なく騒いでるんじゃねーんだぞ!!」
確かに理由はきちんとある。
取っておいたラウンジのエネルゴンケーキが無くなったやら、新しい武器を搭載して皆に自慢したら実は他人の希少な機材使っちゃってたとか。事あるごとにビームや物が飛び交っている。ある日帰ってきたら関係ない自分の部屋のドアが綺麗に無くなっていたのはもう数え切れない。勿論、その時はきっちり仕返しをするけれど。
「でも・・静かすぎねーか・・!?」
「あのなぁ、これが普通なんだよ!!」
廊下はまだ続いている。部屋が一番奥にあるのは何となく知っているけれど何しろこの静けさが落ち着かなくてしょうがない。ブレインサーキットが静かに音を立てて回転すると、嫌でも次第にマイナス思考に切り替わっていく。
扉を開けた瞬間にフレンジーを見て撃たれたら…罰として毎回代わりに任務に行かされたりとか…考えても悲惨な結末しか思い浮かばない。
更に拒否しようにも立ち位置が悪いし、あのサウンドウェーブだ。自分が強く言える訳が無い。
どうしてくれようか。
床を見つめ一人混沌と考えているうちに前を行くランブルの足が止まる。慣れた動作で飛び跳ね、セキュリティーを解除すると部屋の扉が静かに開いた。
先に入るランブルの様子を壁にぴたりとはりついて伺っていたが、話し声など誰かがいる様子はない。体内のオイルが五月蝿く波打つのを感じながらそっと覗いてみる。
「まだ帰ってきてないみたいだな~。まぁそこに寝かせて。」
先に入ったランブルからのいい知らせを聞き、先程まで五月蝿く波打っていたオイルの熱がさっと引いていく。少し軽い足取りで部屋に入るとフレンジーをリペア台に寝かせた。
ざっと見渡しても殺風景な部屋。綺麗に片付いているし、寝台と必要な分析機械があるぐらいで面白そうなものは何もない。
もっともスタースクリームやスカイワープのごちゃごちゃした部屋を見慣れている自分もどうかと思うが。
とにかく、長くここにいたら会いたくない奴も帰ってきてしまう。
もう一度目線をリペア台に戻し、寝かせたフレンジーの頭にそっと触れると意を決して口を開いた。
「じゃあ、俺はかえ…」
「ちょっと待て。まさか連れて来るだけで、帰るなんてのはないよなぁ?」
スパークが跳びはねる。
まずい。ランブルに本心を見透かされた。
「いや…その、サウンドウェーブいないんだし、俺がいる意味・・無いだろ?」
「意味がない~?!バカ言うな!状況報告しないでどうすんだ!!帰ってくるまで待ってろよ!!」
リペア台の横の机によじ登り、自分と同じ目線で話すランブルの目が殺意に燃えている。その目線が痛すぎて思わず目を反らすと、ランブルは腕組みをしながら大きくため息をついた。
「まぁ、どーしてもって言うなら帰ってもいいけど!しらっとした顔してる方がサウンドウェーブにぶっ飛ばされる危険が高いと、俺は思うぜ?」
「うっ…」
さっき跳びはねたスパークが今度はきつく締まる。
反らした目線をゆっくりとランブルに戻し、ちらりと目を合わせると先ほどの痛い目線ではなくいつもの彼に戻っていた。
「脅しじゃなくて。俺はお前と仲良いから忠告してやるけど、前にアストロトレインがちょっと事件起こして黙ってたらサウンドウェーブにのめされてたぞ?」
「のめされたって…」
考えただけでもゾッとする。以前、アストロトレインが酷い怪我をしていたのに何も話さなかったことがあったが…それがランブルの話すものなのだろうか。もしそうだとしたら思い返してもあれは可哀相な怪我だったな・・。
「わ、解った…解ったから!」
過去の記憶を一気に引きずり出して算出された答えは、今はランブルに従うのが正解だということ。今帰ったとしてここを一時的に乗り切っても、黙っていたせいで後から自分まで瀕死状態になるなんて考えたくない。
「解ればいいんだって。」
腕組みをし直しながらランブルは勝ち誇ったように言うと、意識が飛んだままの仲間に目線を移す。リペア台に飛び乗ると台からケーブルを引きずり出し、フレンジーのハッチを開けると慣れた手つきで配線を始めた。
「ほら、台とメインコンピューターは俺じゃ繋げられねーから、そっちの配線しろよ。」
リペア台の下を覗くと確かに大きなケーブルが横たわっている。ぱちん、とメインコンピューターに繋ぐと直ぐにリペア台のフレンジーを診断し始めた。わずらわしい作業も無く直ぐに診てもらえるなんて、自分達でもこんなにいい機材は使ったことが無い。
「すげーいいの使ってんだな。」
「まあな。俺達だけで何かあっても直ぐに原因が解るよう、サウンドウェーブがアップグレードしてくれたんだぜ!!」
「へぇ・・・」
意外だった。部下だから、というのもあるだろうけど彼が任務以外で誰かの為になる事をしているなんて初めて聞いたし、何よりさっき聞いた恐ろしい話とギャップがありすぎて別人じゃないかと思う。
「あとは・・メインコンピューターが応急処置してくれるから大丈夫だな。俺、ラウンジ行ってくるから絶対、待ってろよ!」
「あ、あぁ解った。あ!・・」
話を最後まで聞かずに出て行きやがって。ラウンジの冷庫に大切にしまってるエネルゴンプリンは食べるなって言いたかったのに。いや、むしろ今更プリンの心配なんて遅いか。あーあ、とうなだれて寝台に腰をかけると何か香りがしてきた。
何とも表現しにくいが、いい匂い。どこから香りが出ているのか気になって寝台の下を覗いたり、近くの収納ボックスを見たがこれといって元になるものは見当たらない。
「まあいいか・・。にしてもランブルのやつ、何取りに行ったんだ・・?」
ごろんと寝台に寝転ぶとやっぱりいい匂いがする。しかも前にどこかでかいだ事があるような。
「何で・・初めて来たのに・・」
==========
知らないうちに軽いスリープモードになっていたのだろうか。手足を動かすのは億劫だが、ブレインサーキットはゆっくりと回転していた。
いや、どちらかと言えば深い眠りのほうが良かったのかも知れない。確実にカセットロンではない重厚な足音が聞こえた。
サウンドウェーブが帰ってきている。
このままいきなり飛び起きるのも不自然だし、だからといって堂々と寝ているのも変だ。どうしようか悩んでいたら足音がこちらに近づいてくる。こうなったら寝たふりを決め込もうと決意をして一応、弱いレーダーを出しながら一ミリも動かないでいるとサウンドウェーブが顔を覗き込んできた。
ああ、お願いだからこのまま殺すのだけは止めてくれと考えていたら、サウンドウェーブは更に顔を近づけてきて今度はマスクを収納する音がすると、額に触れる程度のキスをした。
一瞬、ブレインサーキットが止まった。
有り得ない突然の出来事に、寝たふりどころかスパークまで停止しそうだ。
サウンドウェーブはゆっくり顔を上げるとじっと自分を見つめている。余りの出来事に目も開けられないけど、いつもの冷徹な眼差しでないのは何故か思考がパンクしそうな頭でも解った。
この後どうしようかと考えていたら運よく扉が開き、至近距離にあったサウンドウェーブの顔が離れた。
「サウンドウェーブ!!待たせたな、フレンジーのやつサンダークラッカー・・ってお前!!寝てんなよ!!」
ランブルがドア付近から思いっきり走ってきて飛び乗ってくる。頭は起きているから驚きはしないが、流石に痛い。
「・・お前・・痛いんだよ・・!!」
「当たり前だ!!ちょっといないだけで寝てんなよ!!」
「元はといえばお前がおそー・・」
寝ている自分の腹に堂々と馬乗りになっているランブルと口論を始めようかと思った瞬間、サウンドウェーブの視線を感じた。明らかにいつもと同じ、あの視線を。
「い・・いやあの・・」
「フレンジーと何があった?」
「あ・・その、パーツを渡そうとしたら手が滑って、ぶつかったというか・・」
「落としたの間違いだろーが。」
「ち、違うって!!」
またランブルとの口論が始まろうとしたらサウンドウェーブはぷいっと体の向きを変えてリペア台へ行ってしまった。ランブルと互いにきょとんとした表情でサウンドウェーブの背中をみていると無言のままフレンジーの修理を始めた。
「サウンドウェーブ、いいのか?詳しく聞かなくて。」
「その必要は無い。フレンジーが元に戻ればいい。」
「・・ふーん。解った。」
ランブルは少し物足りなさそうに返事をすると寝台から飛び降り、修理を進めるサウンドウェーブの傍へ行く。自分も今、この機会を逃したら帰るタイミングを失ってしまうと思いこっそりと出て行こうとしたら、こっちを向かずにサウンドウェーブが話しかけてくる。
「テーブルにあるやつはお前のだ。」
「・・え・・?」
よく見るともう完全に諦めていた筈のエネルゴンプリンがある。
「スカイワープに食われそうになっていた。」
「あぁ・・やっぱ・・」
「勝手に他の奴らと争奪戦を始めていたぞ。」
そんな争奪戦に参加してまで自分のエネルゴンプリンを死守してきてくれたのだろうか。さっきのキスといい、今日のサウンドウェーブはどう見てもおかしい。次に話を振られる前にとにかくこの部屋を出なくては。
「フレンジーの奴、・・ごめんな。」
「・・・。」
「あ、あの・・プリンも・・ありがとな!」
慣れない奴へのお礼ほど恥ずかしいものは無い。頭にオイルが上っていくのを感じながらテーブルのエネルゴンプリンをさらうように取ると、大急ぎでサウンドウェーブの部屋を後にした。
続く。
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