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TF初代・実写、大帝×司令本命の音波と航空参謀に浮気中。
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07.02.22:03

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  • 07/02/22:03

11.01.22:04

the inside3


続けてUPします。

音波さんは手先が器用です。













「the inside 3」





異変は確実に進行していた。


交戦時にウイングが欠けたようで、このままの速度を維持しての飛行は大事な翼に亀裂を生じる事になる。
前をいくラムジェットは後ろのそんな異変にも気がつかず、速度を保ったまま飛行を続けていた。

一度降り立ち休もうかと考えたが、威勢よく二人の前へ出ていった割に負傷している自分を後方のサウンドウェーブに感づかれるのは嫌だと、プライドが許可を出さない。

そうこうしているうちに、翼に鋭い痛みが走った。どうやらピンチが現実に起ころうとしているようだ。
 
断続的にやってくる鈍い痛みが体内のオイルを波立たせる。まずは何とか高度を下げようとすると、まだ何もしていないのに前方のラムジェットがみるみると頭上に見えはじめる。
 
自分は知らぬ間に高度が下がっていたのかと思うと情けなくなった。
ここで鉄くずになるのだけは嫌だと考えていたら、ラムジェットは自分の頭上高くで速度を変え物凄い勢いで遥か地平線に消えていった。
 
地平線に消えるのがサウンドウェーブだったらよかったのに。押し寄せる痛みと共にぼんやりと考えていたら、個人チャンネルが開きメッセージが入る。
 
 
 
 
「あの廃材所に着陸しろ」
 
「…は?」

 
あっけに取られていると、後方のサウンドウェーブは高度を下げ自分より遥か下方にいた。
絶対に自分から交信したくなかった。少し驚いたが、向こうからくるなんて有難い話だ。何か言われても適当に流せばいい。今は風圧に耐えるのが辛い。

 
慎重に高度を下げると、くず鉄が積まれた山が幾つも連なっているのが見える。
 
トランスフォームし着陸すると、先に下りていたサウンドウェーブが近づいてきた。
赤のバイザーに綺麗に一本の亀裂が入っている。こいつも攻撃を食らったのかと思うと、少し楽しくなった。


 
「お前、バイザー…」
 
「飛べないなら、言え」
 
 
そう言うと負傷した翼を掴まれた。

 
「…ぃってえな!」

 
思わず言葉を漏らしサウンドウェーブの腕を振り払うと、痛みに歪む自分の顔が赤いバイザーに写り込んだ。
感情が読めないコイツは、何を考えているのかさっぱり解らない。
 
振り払われた手を腰に回してきたと思ったら突如、サウンドウェーブは自分を担ぎ上げた。体内のオイルが頭部に集中する。
 
 
 
「な、何だよ!!おろせよテメェ!!」
 
暴れる自分を物ともせず、無言で歩くサウンドウェーブに少し恐怖さえ覚える。
 
今度はいきなり捨てるように下ろされると、向こうも座ってきた。周りにあるくず鉄を拾い上げ溶かすと、翼の亀裂になぞらえる。熱くも痛くも無い調度良い温度だ。


 
「お前、うまいな。」

 
 
悔しいが思わず感心して言葉を漏らす。時にサンダークラッカーやスカイワープにやってもらう事もあるが、あいつらは加減を知らないらしく熱いか・溶接が甘いか、どっちかしかない。
翼から目線を外し、ふと空を仰ぐと月が出ている。忘れていたことを思い出した。
 
 
「そーいやーラムジェットの奴、俺を置いていきやがったな。後で許さねぇ…!」
 
ぽつりと呟くと、最初の溶接を終え次の資材を探していたサウンドウェーブが振り返ることなく言う。

 
 
「帰らせた。いたらいつまでもお前を下ろせない」

 
「…おめーがいた方が下りられねーよ。」
 
 
思わず突っ込んでしまった。いい印象を持っていないことぐらい、相手も分かっていそうなものだが。
表情が読めない上に言ってることも解らない。よく自分はこんな奴と途方も無い年月いたなと思った。
 
 
資材を見つけ戻ってくると、サウンドウェーブは再び溶接を始める。



 
「お前を早く直さないと、メガトロン様にも報告できない」
 
「遠距離用通信で飛ばせよ。」
 
「後ろから突き飛ばされて、バイザーが壊れた。遠距離の通信が出来ない」

 
 
研究所を出てからここに来るまで顔を見ていなかったが、話しからするとどう考えても自分が後ろから突っ込んだあの時が原因らしい。少し気まずかったが、問いただされる様子も無かったので黙っていた。
 
「じゃあ、コンドルでも出せばいーじゃねーか。」
 
次の手段を提案すると、作業の手が止まる。コンドルが自分の知らない間にまずい話にでもなっていたのか?

 


「誰も連れてきていない」
 


「…はぁ!?お前、たった二人であの研究所落とすつもりだったのか!?お前の頭はおめでたいな!」
 
まくし立てて言うスタースクリームの言葉を最後まで聞き終えると、サウンドウェーブは目線を移し静かに作業を再開する。
 

 
「お前が一緒に行く筈だった。だから誰も連れてきていない」
 
「俺は何も言われてねーけど。」
 
「個人チャンネルで何回も言ったが応答がなかった」
 
 
「…あー」
 
 
誰かがメッセージを飛ばしてきていたのは知っていたが、あの時は目の前にいる相手に対しての怒りが強く誰とも交信する気がしなかった。
 
またこれ以上問いただす事もなく、サウンドウェーブは作業を続けている。さっきのバイザーの件といい、問いただされれば何とでも言い訳が出来るのに何も言われない方が逆にコメントしづらい。
 
自分にとって気まずい沈黙が続き、溶接の音だけが聞こえる。気が付いていない訳はないだろう、本題のあのメインコンピューターにした細工について一切触れてこない。
 
溶接の音が止み、全ての作業を終えるとサウンドウェーブは立ち上がった。
 





「細工の上手さを作戦につかえ」



 
座っている自分を見下ろし、本題には殆ど触れず先に飛び立って行った。
自分が邪魔したにせよ、傍から見ればサウンドウェーブの作戦は失敗だ。だからもっと何か言ってくると思っていたが、本当に何も言ってこなかった。


 
「いやまてよ…。メガトロンに言いつけられたら…俺がまずい!!」
 
サウンドウェーブの反応ばかり考えていたせいで、自分が最も危険な立場にいることを忘れていた。
急いでF15にトランスフォームすると、先をいくサウンドウェーブを追いかけた。
 
 
 












 
基地に着き、慌しくメインルーム入ると既にサウンドウェーブは報告を終えていた。
何かいい弁解の言葉でもないかと考えていたら、メガトロンの罵声が先に飛んできた。
 
 
「この愚か者めが!!なぜ最初から作戦に参加せんのだ!!大事なデーターを奪い損ねたではないか!!」
 
「でもメガトロン様…」
 
「お前には明日から出ずっぱりで働いてもらうぞ!!」
 

 
メインルームに響き渡る言葉を残し、メガトロンが部屋を出て行く様子を見届けると、続いてサウンドウェーブも部屋を後にした。
 
 
「お前惜しいな~。もーちょい早くくれば、珍しくサウンドウェーブがメガトロン様に怒られてるのが見られたのに。」
 
「なんかあいつ、変わったこと言ってたか!?」
 
 
「変わったこと?ただ失敗したとしか言ってなかったぞ。」

 
暢気に答えるラムジェットの言葉を信用していいものかと考えたが、とりあえずはメガトロンに何だかんだと言われずに済んだ事が一番よかった。今のところ、サウンドウェーブは今回の一軒を黙っていてくれたらしい。
 
ほっと胸を撫で下ろしメインルームを後にすると、廊下で騒がしい声が聞こえる。


 
「だーかーら!もっと右だって言ってんだろ!!」
 
「うるせー奴だな!!さっさと終わらせろ!!」
 
声の元に近づくと、スカイワープに持ち上げられているランブルがいた。どうやら自分が壊した壁を直しているようだ。


 
「何だ、まだ直ってねーのか。」
 
「おめーが壊したんだろ!!俺と交代しろ!!」
スカイワープはそう言うとランブルをスタースクリームに預けた。
 
 
「なぁ、俺に交代とかないのかよ!!むしろスタースクリーム、お前で直せ!!」
 
「あー、細かいリペアはお前の方が得意だろ。おれは戦闘向きなんだよ。」
 
 
「そんなこといって、またサウンドウェーブ困らせただろ!」
 
 
ランブルの言葉にどきりとしたが、幸い表情には出なかった。スカイワープを帰らせると自分の頭上で作業をするランブルに話しかける。
 

 
「お前、サウンドウェーブから何か聞いたのか?」
 
「んー?何も聞いてねーけど。どうせ一緒にいって邪魔してると思ったから。」
 
「…俺様のこと何だと思ってんだよ。」
 
 
持ち上げている手を緩めると慌てる。こいつは上司と違って感情があるから面白い。
しばらくするとリペアが終わったようで、下ろしてやると帰還したサウンドウェーブの元へ走っていった。




 
自室に戻り寝台に体を預ける。改めてサウンドウェーブにリぺアしてもらった箇所を見やると、廃材で行ったにも関わらず亀裂は綺麗に消えていた。
よく考えればあんな近くで顔を見たのも初めてだったし、奴に何かをしてもらう事さえ初めてだった。

見た目より中身はけっこうマシかもしれない。
実際、あそこで自分を置いていく事も出来たはずだ。


 
だが、サウンドウェーブはそれをしなかった。
 
そして助けてくれた。


 
彼がどんな考えで自分を助けたのかは解らない。
ただ、今日は初めての事が多すぎた。混沌としている自分の考えとは裏腹に、疲労のせいか今まで活発に働いていた機能がスリープモードに切り替わっていった。







続く。
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