05.15.06:22
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11.01.23:36
the inside4
さらにUPします。
ちょっとだけ音波様がsッ気発揮してます。
「the inside 4」
「…い、おい!起きろよスタースクリーム!!」
いきなり聴覚センサーを揺さぶる声が聞こえ、自分の上に何か乗っているような気がした。
部屋の鍵は閉めたはずなのに、一体何が入ってきたのか。恐る恐る目を開けると見慣れた奴が遠慮もなく自分の上に乗っている。
「なんだ、フレンジーか。」
いきなり聴覚センサーを揺さぶる声が聞こえ、自分の上に何か乗っているような気がした。
部屋の鍵は閉めたはずなのに、一体何が入ってきたのか。恐る恐る目を開けると見慣れた奴が遠慮もなく自分の上に乗っている。
「なんだ、フレンジーか。」
「何だってなんだよ!せっかく起こしに来てやったのに!鍵かかってなかったぞ!」
「おまえ、そーゆうのは不法侵入って言うんだよ。」
いきなり体を起こしたせいで、フレンジーが転げ落ちた。
落とされた事に文句を言うフレンジーを適当にあしらい部屋を出ると、サウンドウェーブが腕を組みながら壁にもたれていた。
鍵をかけ忘れ、自分は誰かが部屋に入ってきてもセンサーがキャッチできないほど疲れていたのか。
「お前の部下は不法侵入って言葉も知らねーのか?」
壁にもたれるサウンドウェーブをちらりと見たら、リペアしたのか赤のバイザーが綺麗に直っている。
「鍵をかけないのが悪い。それにお前に用がある」
「用?昨日の事なら俺様は何も話さないぜ。」
無事に帰還出来た今となってはコイツに媚びる必要など皆無だ。
次に何か話し掛けられる前に部屋に戻ろうとしたら腕を掴まれた。
「何だよ。もう少し休ませろよ。」
立ち上がってから気が付いたのだが、スパークが熱を発している。湧き上がるような痛みと胸がつかえるせいで上手く循環機能が作動していないようだ。
「いいから来い。また担がれたいか」
昨日の一軒を思い出し余計に関わりたくなかったが、掴んだ腕を放してくれる様子も無い。部屋に入ろうと体を反転させると更に力を入れてくる。一度でなく二度までも自分の弱ったところを見せるのは絶対に避けたかった。
「そんなに俺様から何が聞きたいの…」
サウンドウェーブの方を向き直り、ぶっきらぼうに言葉を発したが最後まで言い終わる前に自分の中で何かが切れた。足元のフレンジーが話しかけているようだが全く聞き取れない。平行指示器も作動しないらしく立っているのが精一杯だ。
「か…」
機能停止の警告音が鳴り響き視界が暗くなる。足に力が入らなくなり、そのままサウンドウェーブに突っこんでいってしまった。
「なぁ、壊れちまったのか?」
部屋から出てきたフレンジーがサウンドウェーブを見上げる。
「戻るぞ」
サウンドウェーブは昨日と同じようにスタースクリームを担ぎ上げた。
これは夢か、走馬灯か。
デストロンのニューリーダーになる前に、俺は今度こそ死ぬのか。
怖い事に意識があちこちに飛んでいても、自分のジャックにコードを差し込まれる感覚が解る。
移ろう意識を引きずり戻し、必死に視覚センサーを働かせると誰かが覗き込んでいた。
「おまえ…俺をスクラップに…して…」
言葉を発する度に換気機能が痺れる。これでは死に際のうわごとだ。
「工作する時に、自分の通信防御レベルを上げなかったのか」
「そんなの…してねぇよ…」
「あのメインコンピュータには強力なウイルスが仕込んであった。お前は感染している。」
人間のウイルスごときに弱るとは信じ難いが事実、朝目を覚ました時から体が重い。
「なんでおま…えは平気なんだよ…?」
「自分の防御ウイルスを流し込んで対抗した」
「は…。で、俺はスクラップってオチか…」
痛みに耐え、賢明に放った言葉の割に淡白な返事。本当こいつに『感情』という言葉は無いらしい。
最後の会話相手がサウンドウェーブとは悲惨だ。せめてサンダークラッカーかスカイワープが良かった。
「内部に浸透してる。型が同じ防御ウイルスを入れるか、スクラップか選べ」
選ぶまでもないと言いたい所だが相手が悪すぎる。これでは命乞いだが、しかし強がっていられるほど身体がもたない。
「…なんとかしやがれ…」
精一杯の言葉を聞くと、スタースクリームに繋げたコードの端をサウンドウェーブは自分のコネクターに接続した。
「ちょっ…と、あ」
始めは弱く次第に強く押し寄せる防御ウイルス達に飲み込まれていく。
「っは、まて…つよ」
「我慢しろ」
「…い、あっ」
静かな部屋に響く自分の情けない声も恥ずかしいが、何よりサウンドウェーブに見られているのが耐えられない。
「…な、みてんな…よ!」
「面白い声だな」
人が痛みに耐えているというのに面白いと言うのか。サウンドウェーブからとめどなく流し込まれるウイルス達はスパークまで達し、もっと奥深く浸透していく。
「あぁ、あ…いっ、はぁっ」
もう声が恥ずかしいなど言っていられない。寝台をきつく掴んでいた手を放し、サウンドウェーブの腕を掴んだ。
「ふざけ…んな…っあぁぁ!」
顔をのけ反り、サウンドウェーブの腕を更にきつく掴む。流し込まれたウイルス達は勝利したのか、スパークを守るように取り囲むと静まった。
掴んでいた手は力が抜け寝台の外に放り出される。
視界がまた暗くなっていくなかで、サウンドウェーブの赤いバイザーが強い印象を残していった。
続く。
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